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平和構築入門: その思想と方法を問いなおす (ちくま新書)

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参照データ

タイトル平和構築入門: その思想と方法を問いなおす (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者篠田 英朗
販売元筑摩書房
JANコード9784480067418
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

15.10.25
というのを非常にシビアな目で分析している、平和構築の現状と課題を分析する入門書である。
といっても筆者自身が平和構築の現場で働いていたことのある人間だけあり、決してシニカルに眺めているわけではなく、その批判や提言には説得力がある。

本書は、まず平和構築が近年熱心に行われる背景理由として、主権国民国家による国際社会構築という意識があることについて簡単に議論する。
その後、国家建設・治安維持(武力介入)・国際法・経済援助・人道支援の五つの観点について、それぞれ一章ずつ割いて、それらを用いた平和構築の現実と、それらが本当に平和構築に寄与しているのかを議論している。
ただし、五つすべてが独立な要素というわけではなく、これらは互いに絡み合った論点である。

国家建設によって平和を構築する、というのは主権国家が国民を保護するという従来的発想には非常に整合的だが、実態としては問題を孕むことも多い。
すでに政府を名乗る独裁政権がいる場合、結果としてその独裁政権の維持にかえって力を貸してしまうこともある(カンボジアのフン・セン政権など)し、紛争の一方当事者を欠いた疑似和平合意の下で国家建設を進めようとしても、国際社会の軍事的介入低下とともに紛争が再発するケースもある(アフガニスタンのボン合意など)。
しかしそれでも、独裁者の政権でも国家崩壊状況よりはまし、という側面は否定できず、国民は苦渋の選択を迫られている状況にあるともいえる。

軍事介入に関する方向性の変化として、2008年の「キャップストーン・ドクトリン」が中立性から公平性への転換を取り上げ、人道のための積極的介入をPKOミッションに認める流れを取り上げている。
ガリの「平和執行」の概念は後ろへ退き、代わりに「保護する責任」「文民の保護」という人道の概念が法規範・国連機能としても前面に出てきている。

国際人道法は、戦争の存在を前提としたうえで、戦争状態においても「法の支配」を貫こうとする姿勢である。
一方、日本人は「戦争は嫌だ。戦争が起きたら世界は終わりだ(法など機能しない)」という正反対の思考に陥っている、と筆者は手厳しく批判している。

14.11.28
紛争地での国際協力をやれば、それが結果的に平和構築にもなる、、そんなイメージをどこかで抱いている人も多いように思われる平和構築を、そんな他人事のものではなく、むしろ我々現代人の根幹に係る取り組みであるということを徹底して検証したもの。

こういうことを書くと、地球の裏側がテロの温床になり、それが日本にも・・なので国家建設・平和構築といったイメージになりがちだが、そういったことを論じたものでは全くない。

平和構築が、そもそもどういう性質のもので、なぜ、それに取り組まなければならないのかについて扱って、単なる「やるべき論」ではなく、この国際社会において根源的に「やらねばならぬ」つまり何らかの形でやらざるを得ない(そこに選択肢はない)ことを、丁寧に、かつ真剣に問い直しながら展開している。

内容は別の方が書いているので細かいことは省略するが、45ページにある記述「国際社会の不備が作り出す問題は、国際社会の陥穽によって解消すべきである」という平和構築の要請の構造的要因を指摘した上で、86ページの「今や、国際的な平和構築こそが、現地社会の複雑な要素に翻弄されて進展する国家建設の行方によって、大きく左右されてしまう」という認識が基本となっていると言える。

この認識を基盤に、各章で設定した分野の視点から平和構築の展開とその視座とを考察している。
詳細はほかの方が書いているので省略。

なお、網羅しているという意味で入門的であるが、法律を専門とする著者らしい徹底した論理構成と時に冷たくも感じるような書きぶりで、気安く手に取ったがそんなに優しい内容ではなく、非常に考えさせられる内容だった

レビュー数 2 です

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